宵月ノ雫~幕末恋綴り~ 弐ノ章 久坂玄瑞
宵月の雫を掬い上げ泡沫の恋を咲かせよう、たとえ刹那に散り逝くとしても ≪宵月ノ雫とは ?≫ 幕末、長き泰平の眠りから日ノ本が目覚めようとする激動の時代。 動乱の京から遠く離れた長州の地に、志士と呼ばれる男達がいた。 動き出した歴史の歯車によって少しずつ変わっていくのは、 彼らとあなたの間に、確かにあったはずの当たり前の日常。 契りを交わした宵月は、久遠かそれとも幻か。 ここに綴られるのは、秘めやかな恋の物語。 ≪あらすじ≫ 生まれつき病を患っていたあなたは、家から出る事も叶わず孤独な療養生活を送っていたが、 ある時一つの出会いを果たす。 藩医である兄の診療について来ていた、寡黙な少年。 それは幼き日の久坂玄瑞であった。 少ないながらも言葉を交わすうち、少しずつ打ち解けていくあなたと久坂。 いつしかあなたの病も快方へと向かっていた。 時は流れ、安政五年。 吉田松陰に師事し、志士への道を歩み始めた久坂は江戸にいた。 人手不足の長州藩邸を手伝うため、久坂を追うように江戸へと下るあなた。 見知らぬ地での日々が、あなたと久坂の関係に変化をもたらしていく ―― 。 藩医であった久坂の兄に命を救われる。 それは、兄の診療に幼き日の久坂との出会いでもあった。