花散峪山人考 予約特典OST
一方、まだ山々には前人未踏の原生林が多く残り、その深い影の中に伝説・伝承を潜ませていた時代。 濃密に立ちこめる山気と、分厚く積もった落ち葉とを踏み乱し、駆けゆく者がある。 そう、樹々の間に間を荒々しく駆けてゆくのは、修羅だ。 復讐の炎に我が肉を炙る、鬼だ。 最愛の女を無残にも殺められた青年の、復讐の炎にドス汚れた瞳が、仇の姿を深山の中に追い求める。 仇、仇、憎むべき敵。 青年が追いかけ、滅ぼさんとする仇敵とはなにものか。 人も通わぬ深山に巣くい、跳梁し、翻弄するそれは―――人か? 山の怪か? それは山人。 町里に住まう人々とは異なる、不思議、異形のモノたち。 ―――これは、復讐の物語――― 最愛の者を奪われた青年の、山野を駆け巡り追い求め、仇はおろか、関わった者までも巻きこんで、滅ぼしていく物語。